■ 機械で作れるところが無いようにつくります
学校のお客様などが一年に何回か、工場見学においでになります。おおかた、機械成型で量産しているのだろうという感じで来てみたら、ああびっくり、一台一台全部手作りとは思ってもみなかったと、皆さんびっくりされます。機械で量産することはある程度は可能です。そうすると、一人ひとりのお客様のご要望にお応えしていく事が次第に難しくなっていきます。キイヤのボディで店のディスプレイをするブランドのお客様たちのこだわりに１００％応えて差し上げるのが理想です。私たちが一つ一つの製品をハンドメイドで作る事を選択しているのはそういう理由です。

ほんの些細な事が、私たちの仕事に大きな影響をもたらします。春夏秋冬の季節に彩られる日本で、永久的に布地をボディにきちんと張り付かせるために、梅雨時の湿気、夏の暑さ、冬の寒さをしのいでいくために、先輩達から多くの智恵を授かり、またいろいろ改良を加えています。写真の型紙はお客様から持ち込まれる多くの生地ごとに、起こされた張生地の型紙の一部です。

生地の伸び具合が異なると、わずか1ミリ弱でもボディに張ったときに、しわやツレの原因になります。型紙をとる仕事と、ミシン縫いの仕事はいつも協力が欠かせません。衣料の縫製と同じく、女性の身体は曲線でできており、ボディの張生地も、イセと伸ばしが自然にできてこそ、きれいなボディが仕上がります。

バストポイントを通る縫い目線は、パネルラインとかプリンセスラインと呼ばれています。裁断用のボディの場合は、サイドネックポイントから肩峰点に向かう肩線は服作りの大黒柱とも言える重要なラインです。プリンセスラインもドレーピングをするときには目安線としてダーツの方向や、位置を決める大切なラインです。
ディスプレイの場合でも、センターのラインを挟んで均等になるようにひっぱりながら布を張って行くのは熟練が必要です。
少し油断すると、お客様から、3ミリほど右のラインがずれている、などとおしかりを受けたりいたします。ボディの縫い目線にお客様がご要望される正確さを実現できるようにこれからも伝えつづけ、努力していきます。

今年の春に登場した新しいディスプレイ用のボディ。mi:na & shi:le　＜ミーナとシーレ＞です。ミーナは女の子の身体を少しデフォルメして、すこし、フィギュア的に造型しました。シーレの方は、通常、紳士用のボディを造形するときに付け足す部分をすべて削ぎ取って、今時の、素のままな男の子、だらしなカッコイイ、細くて優しい男の子をイメージして作りました。

以上が、キイヤボディのボディの作り方です。